或る日、僕は

「ほぅ…お客さんか、珍しいな。ここはダンジョンだ。わたしはここでコーヒー飲んでるから、ゆっくり見て行ってくれ。幸運を祈る。」Since 2014.

わたしはもはやダンディな紳士でしかないだろう。


 昨晩、ずいぶん深く考え事をしていた。特に解法がないから、深く深く考えていた。眠りに就いて、複雑な夢を見たような気もするが、起きてみるともう時計は正午を回っていて、夢はすっかり忘れてしまっていて、(お昼ご飯を食べないとなぁ)とか思ったんだった。

 パスタを茹でて、ソースを手鍋で温める。

 でき上がったスパゲティを盛り付けて、粉チーズとバジルを振り、写真を撮ってみた。

 たまには、こういう日もある。

 わたしは、たぶん、イケメンであることを忘れた。

 もう、髪を切りに行ってもイケメンにはなれないだろうし、どれほどのコーヒーを飲んでもイケメンとはすこし異なるダンディな紳士でしかないだろう。

 だから。

 スパゲティを食べながら、(このあるでんては、わたしのあるでんてだな)、と思った。

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