夜。
わたしは彼女のことを想っている。
過ぎ行く時間。
声が聴きたい。
切ない夜。
想い、焦がれる。
苦しくて、たまらない。
冷たい気持ちに、苛まれる。
もし、彼女の胸に触れることができたなら。
もし、彼女の髪を梳いてあげることができたなら。
だけど、夜のわたしを知られることは、すこし、こわい気持ちもある。
わたしは、わたしのことを、恐れている。
もし、彼女について知る術があるとすれば。
触れてみたい。
脱がせてみたい。
わたしの、目の前で。
ふたりきりの、場所で。
ふたりで、夜を過ごしてみたい。
わたしは、すこし、思案してみる。
彼女の、掌が、わたしを包むところを。
彼女は、その掌で、わたしに触れてみたいと思っているはずだ。
彼女の指先が、わたしの手に触れる。
わたしも、指を差し出す。
これは、彼女の小指と、わたしの小指が、約束を交わすため。
触れた指先は、あたたかい。
あたたかなぬくもりを。
静かに、わたしは、その彼女のことを想っている。
彼女のブラを外してみたい。
彼女が、恥ずかしそうに、目をつむって、ささやいてほしい。
「好きだよ、てるさん」