今週のお題「卒業」
ここ十数年ほど式典というものにとんと縁のない暮らしぶりである。人生の節目にはなるのだろうが、形式としての卒業式典について、体験談を書いてみたい。
大学時代の話。とにかく卒業式典の日は歌うためにお呼びがかかっていた。3月というと、全学部の大学院博士課程・修士課程・学部生の学位授与式が開かれる(過去形ではないのは、当時の感覚で書きたいからである)。卒業式典は2日にわたって行われ、特に印象に残っていることがある。それは、学長の祝辞である。祝辞は、大意は概ね同様の内容だったのだが、細部の表現が若干変わり、全学部において、全く同じ祝辞を述べていなかった、つまり原稿の棒読みではなかった、という点に特徴があった。同じエピソードを6回語るのであるが、6回聞いてみて、6回卒業した気分であった。春学期・秋学期ともに併せると入学式典と卒業式典にはかなり参席させていただいたものである。
そういうわけで、しめやかな雰囲気に包まれる祝典というものを、私はあまり嫌いではない。ピリッと引き締まるものがある。